すべての土台となる、インフラのお悩みを解決いたします 腐食・防食調査 腐食および電気防食関連の調査項目と内容について紹介します。 埋設パイプラインや地下貯蔵タンク等、インフラに関連する設備において不具合が発生するということは、その先にすぐに困る人が存在するということになります。 そのため、正しい状況を調査し適切な処置を施すことがとても重要です。 特に電鉄軌条からの漏れ電流による影響は場所により大きく腐食に作用することがあり、影響の度合いを調査確認することが重要です。 当社では長年の経験によって培ったノウハウや技術を駆使し、迅速かつ適切に調査を行っています。 迷走電流調査 1. 電鉄軌条からの迷走電流影響調査 電鉄軌条から1㎞以内に埋設鋼構造物の計画がある場合に、迷走電流の有無を確認し電食発生の推定を行う。迷走電流とは意図した回路以外を流れる電流のことをいい、電鉄軌条からの漏れ電流によるものが多い。迷走電流が地中を流れる場合に地中に電位勾配を形成するため、この電位勾配を地表面で検出するものである。 土壌抵抗率 2.土壌抵抗率により腐食程度を評価 土壌抵抗率は腐食と関係している電流に影響する因子の一つであり、土壌抵抗率の測定によって土中埋設物(鋼製)の腐食程度を推定することができる。また、接地抵抗の計算に必要である。 腐食調査 3.長期間使用した埋設管の腐食確認 埋設された塗覆装鋼管の腐食を防止している塗覆装が、長期間の使用による経年劣化や他工事による損傷などで一部密着不良となると、当該個所で腐食が進行することが考えられる。よって、塗覆装の不良個所を検知し、鋼面の腐食調査を行う。 調査項目は管厚、孔食深さ、腐食面積等である。 管内電流調査 4.ガス、水道管等の管内電流測定 管体に検知コイルを取り付ける管内を流れる電流を計測する。管内を迷走電流や防食電流がどの程度流れているかにより、防食効果や影響範囲の判断ができる。 埋設塗覆装管の管体調査 5.埋設塗覆装鋼管の劣化状況確認 埋設後数十年経過した塗覆装鋼管の塗覆装劣化状況、管体の腐食の有無、防食状況の調査を行うものである。塗覆装表面の小石等の食い込みや鋼面との密着状況などを計測する。また、電気防食設備が設置されている場合は電気防食の効果も確認する。 自然電位法 6.コンクリート中の鉄筋自然電位測定 コンクリート中の鉄筋自然電位を測定することにより鉄筋の腐食の有無が推定できる。測定は「コンクリート構造物における自然電位測定方法(JSCE-E 601-2007)」[土木学会規準]に基づいて行う。照合電極は飽和硫酸銅電極(CSE)を使用する。 電気防食の原理と方式 水中または土中における金属の腐食は局部電池の形成による電気化学的機構において発生するものであるから、その腐食電流を打ち消すだけの直流電流を人為的に流入させると腐食が抑制される。 腐食電流を防食電流で打ち消して腐食を防止する防食法を電気防食法という。 電気防食法には「流電陽極方式」と「外部電源方式」がある。 流電陽極方式 別称犠牲陽極方式とも呼ばれており、鉄よりも卑電位な金属(マグネシウム、亜鉛、アルミニウム)を接続することで形成される電池作用により、管の電位を下げて防食するものである。 外部電源方式 地中に不溶性の電極(高珪素鋳鉄、MMO等)を設置し、これに直流電源装置の(+)極を、埋設管には(-)極を接続し、不溶性電極から電流を送って管の電位を防食電位まで下げて防食するものである。 なお、他埋設物に悪影響を及ぼす懸念がある場合は、電極の位置を地中深く設置することにより影響を小さくする「深理電極法」を適用する。 地下貯蔵タンク及び地下配管電気防食 1.流電陽極方式 貯蔵タンクよりも卑電位の金属(主にマグネシウム)を接続することで形成される電池作用により電流を流し、タンクを防食するものである。 2.外部電源方式 付近の地中に不溶性の電極(高珪素鋳鉄、MMO 等)を設置し、これに直流電源装置の(+)極を、タンクには(-)極を接続し、不溶性電極から電流を送ってタンクおよび配管の電位を下げて防食するものである。 タンクの迷走電流調査 調査概要 地下貯蔵タンクを設置する前に敷地内の迷走電流の有無を確認し、電食発生の可能性の推定を行う。 迷走電流は意図した回路以外のところを流れる電流で、主に直流電鉄軌条からの漏れ電流によるものが多い。 迷走電流が地中を流れるときに、土壌の抵抗率に応じて地中に電位の勾配を形成する。この電位勾配を、地表面に2個の照合電極を適当な間隔(5~20m)をあけて土に差し込み、内部抵抗の高い高感度記録計(EPR)を用いて、この電極間の電位差を測定することにより求める。 測定は地下タンク埋設位置あるいは近傍の地表面で直行する2方向において同時に行う。 地表面電位勾配測定概略図 地表面電位勾配測定例 迷走電流の影響の度合いは測定値の地表面電位勾配の最大変化量から単位m当たりの変化量を求め、下表により迷走電流の影響の程度を推察します。 電位勾配から見た迷走電流の影響 土壌中の電位勾配(mV/m) 迷走電流の大きさ < 0.5 弱 0.5~5 普通 > 5 強 『電食防止・電気防食ハンドブックP.19』より引用 塗膜抵抗測定とデジタル塗膜抵抗測定器 塗膜抵抗測定の目的は、新設埋設管については完工事に定められた基準値を満足しているか、また既設埋設管については塗覆装の健全性を確認するために行う。 1.測定要領 1-1電位降下法 電位降下法による塗膜抵抗の測定概要図を図-1に示す。 図-1 塗膜抵抗測定概要図 図-1に示すように、測定点において通電電流測定回路と管対地電位測定回路を設けて同時測定を行う。 バッテリー等により通電電極から通電し、通電電流をON-OFFした時の管対地電位変化を測定する。 管対地電位測定は原則として、調査対象路線の両端末付近で行う。 測定結果から塗膜抵抗値の計算を行い、基準値以上あることを確認後、計算結果を規定の書式にまとめて提出する。 1-2デジタル塗膜抵抗測定器(オメガくん)による方法 デジタル塗膜抵抗測定器(オメガくん)は専門知識がなくても誰でも簡単に塗膜抵抗測定ができるように制作されている。原理は前項同様、電位降下法である。 測定概要図を図-2に示す。 図-2 デジタル塗膜抵抗測定器(オメガくん)の測定概要図 図-2に示すように、埋設管ターミナルからのリード線、飽和硫酸銅電極からのリード線、通電電極からのリード線をオメガくんの端子へそれぞれ接続する。 オメガくんの開始ボタンを押すと所定の通電後、塗膜抵抗値を表示する。 測定したデータは自動的にUSBメモリーに保存する。報告書にはデータをプリントアウトし提出する。(図-3 参照) 塗膜抵抗地 13.9MΩm² 接地抵抗地 13658000Ω 電圧 max -4606mV 電圧 min -1826mV 分極地 ⊿E 2780mV 通電電流 0.001677mA 延長距離 23.4m 外径 114.3mm 図-3 計測結果 2.塗膜抵抗計算 塗膜抵抗は次式により求める。 ω= (ΔE/i)× π × D × L ・・・ (1) ここに ω: 塗膜抵抗 (Ω-m²) ΔE: 分極地 2780 (mV) i: 通電電流 0.00167 (mA) D: 管の外径 0.1143 (m) L: 管の延長距離 2.34 (m) よって(1)式より、 ω = (2780/0.001677) × π × 0.1143 × 23.4 = 13929120 = 13.9 (MΩ-m²) 3.デジタル塗膜抵抗測定器(オメガくん)の特徴 誰でも簡単に塗膜抵抗測定ができる 測定データはUSBメモリーに保存でき、パソコンでプリントアウトし提出できる 操作が簡単で小型・軽量なので配管工事中の日常管理に使用できる 従来機器よりも内部インピーダンスが大きいので精度が向上している 以上